大規模分子シミュレーションによる環状ペプチドの細胞膜透過性予測法を開発しました。
秋山 泰 教授(MIDL研究代表者/情報理工学院)らは、 環状ペプチドの細胞膜透過性をスパコンの大規模活用による最新鋭の分子動力学シミュレーション技術に基づいて計算する、新たな予測手法を開発しました。
多様な標的に対して高い結合親和性を持つ環状ペプチドは創薬において注目されていますが、適切な設計を見つける(予測する)ことが困難という課題がありました。秋山教授らの研究グループは分子シミュレーションによるペプチド設計の予測手法を開発し、156個の環状ペプチドを対象とした検証実験を通じて評価しました。その結果、提案手法による細胞膜透過性の予測値は実験値との良好な相関が見られ、十分に実用的な予測性能をもつことが実証されました。さらにシミュレーションによる動態解析の結果、環状ペプチドを構成する原子と細胞膜や水との間の静電相互作用が、細胞膜透過性と強く関係することが明らかになりました。この知見は膜透過メカニズムの解明や膜透過性を有する分子を設計するための指針に繋がり、ペプチド創薬技術の確立に大きく貢献するものです。
研究成果は2021年7月8日(現地時間)付で米国化学会Journal of Chemical Information and Modeling(ケミカル・インフォメーション・アンド・モデリング)誌のオンライン速報版で公開され、掲載号のカバーピクチャーに採用されました。
プレスリリース:
大規模分子シミュレーションによる環状ペプチドの細胞膜透過性予測法を開発 —スパコンを活用して中分子創薬を加速— (pdf)
TSUBAME supercomputer predicts cell-membrane permeability of cyclic peptides (pdf)
東京工業大学ウェブサイト 東工大ニュース:
大規模分子シミュレーションによる環状ペプチドの細胞膜透過性予測法を開発 スパコンを活用して中分子創薬を加速
TSUBAME supercomputer predicts cell-membrane permeability of cyclic peptides